2015年11月9日月曜日

人から溢れるもの

 この写真に写る澤村信哉さんが日々行っている活動は、音楽を提供することだけではない。彼は多くの子どもに、歓びの感情を生ませることができる力の持ち主だ。彼の主な活動拠点は、フィリピンにあるハウス オブ ジョイ「歓びの家」(以下HOJ)である。HOJとは、家族のいない子ども達が生活している孤児院の名前だ。フィリピンでは日本と異なり、孤児院運営の資金を全て実費で賄わなければならない。そこで年間700万円から800万円程の資金を、日本での講演や写真のような音楽活動などによって調達している。またここで用いられる「歓び」は、内発的な感情を指し、外発的な感情である「喜び」ではない。ここにHOJを創立し、運営する方々のこだわりを感じる。それは支援するスタッフが与えることによる喜びではなく、子ども達から溢れてくる歓びが集まる場所にしようというものだ。またHOJでは、人から溢れる歓びの感情が新たな子どもに伝わり、HOJのスタッフだけではなく、子ども達によっても運営されていると言うことができる。これは所属した当初は笑顔を見せなかった子ども達が、同じ経験をしてきた子ども達の必死に笑わせようとする努力によって、現在では弾けんばかりの笑顔を見せることから分かる。このように歓びが生まれ、集まるHOJでは、孤児院=可哀想という概念を公表するのではなく、HOJ=楽しいところという概念を最も世間に押している。それは運営資金をHOJに実際に遊びに来てもらった滞在費から調達していることや、澤村さんが開発した竹サックスと子ども達の楽しそうな演奏風景の映像の販売など、HOJに存在する楽しさを伝えながら、資金調達をしていることからも分かる。実際に澤村さんも、現在の広告活動において最も大切にしていることは、HOJが楽しい場所であるということを伝えることだと語っている。また彼は今後のHOJの展望を、今の楽しい状態を維持することだと語った。彼の活動で1番大切なことは、活動を心の底から楽しんでいる彼の存在である。そして彼から溢れるものが、また人に伝わって感情を内発的に生む。どんな環境下にあろうとも、家族があれば幸せは存在すると語った澤村さんは、父親のような存在を目指しているわけではない。しかし子ども達にとって、父親のようなあったかさを持つ存在であることは間違いない。澤村さんの1番の強みは、子ども達に負けないような今を楽しむ笑顔である。そして彼から溢れる人の良さだ。人から溢れる目に見えないものが、最も人を目に見える行動に移す。HOJ卒業後も、澤村さんが子ども達に与えた歓びが生まれるきっかけ作りに終わりはない。国籍を問わず人を動かす力が、澤村さんから溢れている。

文責:情14-440 松田 果穂

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